私が仕事をやっていて一番悲しいのは、仲間に対する「批評」「批判」を、その人や、そのチームのいないところで言っている人を見かけることです。
実際のところ私自身も、Housmartを作る前、つまり前職時代は相当な批評家であったと思います。
飲み会に出る度に、その場にいない人の「批評」や「批判」を繰り返していました。
あるときはおもしろおかしく、あるときは自分の立場を良くするために「批評」や「批判」を繰り返していたのです。
しかしあるとき、その人や、そのチームのいないところでする「批評」「批判」は全く効果がないばかりか、実は最悪だということに気が付きました。
自分の評価は全く上がりませんし、その一方で無責任、かつ、組織にとって極めて悪影響だからです。
なぜ無責任なのか
その人や、そのチームのいないところで「批評」「批判」をする人は無責任です。
なぜなら「批評」「批判」を言って終わりだからです。
ビジネスにおいて、行動には責任が発生します。
例えばマネージャーの場合、チームメンバーのアウトプットを最大化し、チームメンバーの成長を支援する責任があります。
チームメンバーがなかなかアウトプットを出せずに苦しんでいたり、スキルの成長や、体調面での不安があればマネージャーはその支援を行います。
メンバーとコミュニケーションを行い、どうやったら問題を解決出来るか考え、一緒に行動します。
そしてその結果に責任を持ちます。
結果に責任を持つので、有限のリソース、制約条件の中で「どうしたら状況を良く出来るか」と必死になって考え、当事者意識を持って行動します。
私であれば、会社の代表として各チームのアウトプット、各事業の業績、キャッシュフロー、そして会社全体の業績に最終責任を負っています。
しかしその人や、そのチームのいないところで「批評」「批判」をする人は、批評・批判する対象に対して、何の責任も負っていません。
何かを伝えるときは、問題解決のために、当人の立場に立って愛を持って「支援」をするべきです。
責任を負わずに仲間に対して批評だけすることは、TV番組では許されるのでしょうが、ビジネスでは許されない行為です。
なぜ組織にとって極めて悪影響なのか
その人や、そのチームのいないところで「批評」「批判」をする人は、組織にとって極めて、本当に極めて悪影響です。
その理由は3つあります。
1.言われた人のモチベーションを無駄に大きく損なう
その人や、そのチームのいないところでする「批評」「批判」は多くの場合、物凄い検討外れな指摘です。
そもそも批判をする人が、当人・チームと問題について話し合っていないので、当人・当チームの狙い、背景、現状、難易度を正しく認識していません。
結果、顔から火が出るレベルで的外れな「批評」「批判」になります。
そしてそういった的外れな、レベルの低い「批評」「批判」は必ず当人・当チームの耳に入ります。
言った本人だけが「耳に入ることはないだろう」と思っていますが、誰が言ったかまで含めてほぼ100%、伝わっています。
的外れな、レベルの低い「批評」「批判」をされた当人・当チームは、しらけ、モチベーションを大きく損ないます。
意味のない「批評」「批判」によって、無駄にモチベーションを損なうのです。
問題に向かって日々トライアンドエラーをしている人材・チームのモチベーションが大きく損なわれることは、会社にとって極めて大きな損失です。
2.会社全体のレベルを下げる
その人や、そのチームのいないところで「批評」「批判」をする人というのは、残念ながら仕事のレベルはトップレベルではないと言えます。
仕事のレベルがトップレベルである人材は、人の仕事ではなく自分の仕事に集中します。
そして一緒に仕事をする仲間に問題があれば、愛を持って当人と率直にコミュニケーションを行い、問題点を解決するからです。
「カモは議論に勝とうとする。カモでないヤツらは勝とうとする。」ー反脆弱性 / ナシーム・ニコラス・ タレブ著
「人は何か問題にぶつかると、他者に責任を押しつける傾向がある。昨今は被害者ぶることが流行にでもなっているかのようだ。「もし上司があんなに無能でなければ・・・、もし貧乏な家に生まれていなければ・・・、もしもっと良い場所に住んでいれば・・・、もし父親の短気が遺伝していなければ・・・、もし子どもがこんなに反抗的でなければ・・・、もし他の部署が受注の間違いを繰り返さなければ・・・、もしこんな斜陽業界にいなければ・・・、もし社員がこれほど怠け者でなければ・・・、もし妻がもっと自分を理解してくれれば、もし・・・、もし・・・」こんなふうに、自分の抱えている問題や困難を他人や状況のせいにすることが当然のようになってしまっている。そうすれば一時的には痛みが和らぐかもしれない。しかし実際には、自分とその問題をつなぐ鎖を強くするだけなのである。謙虚な人は自分が置かれた状況を受け入れ、責任をとる。勇気ある人は、主体的に困難に取り組み、創造的に克服していく。こうした人たちは、自ら選択することによって大きな力を得るのである。」ー7つの習慣 / スティーブン・R・コヴィー著
その人や、そのチームのいないところで「批評」「批判」をするというネガティブな行為は、会社に伝播していきます。
「問題を解決せず、アウトプットを出さず、外野から批評・批判だけで終わることが許される」という誤った認識が会社内に広まり、組織の文化は堕落します。
驚くことに(私自身もそうでしたが)、その人や、そのチームのいないところで「批評」「批判」をする人は「良いことをしている」「正しいことを伝えている」「アウトプットを出している」と勘違いしていることがあるのですが、良い点は一つもありません。本当に一つもないのです。
アウトプットは0で、無駄に他の人・他チームのモチベーションを削ぎ、間違った情報を伝え、ネガティブを伝播させているだけです。
そしてその人や、そのチームのいないところで「批評」「批判」をすることを許すと、会社全体のレベルはどんどん下がっていきます。
3.会社全体の心理的安全性を脅かす
その人や、そのチームのいないところで「批評」「批判」をする人は、会社全体の心理的安全性を脅かします。
心理的安全性とは、問題に対して当事者同士が率直に話し合うことで問題と向き合い、解決に向かっていける状況を言います。
その人や、そのチームのいないところで「批評」「批判」をする人の存在は、全社に広まります。
その人や、そのチームのいないところで「批評」「批判」をする人がいると、行動を起こそうとしたときに「またあの人に、陰で何か言われるのではないか」ということが足かせになってしまい、行動やディスカッションが出来なくなってしまいます。
これは心理的安全性がない状態と言えます。
その人や、そのチームのいないところで「批評」「批判」をするは、言っている本人自体が嫌われます。
言っている本人からすると気の利いた「批評」「批判」のつもりでも、周りからすると無責任な愚痴にしか聞こえません。
事あるごとに愚痴を言っている人を好きになる人がいるでしょうか。
その人の上司を含め、誰も好きにはならないでしょう。
飲み会の度に、無責任な愚痴を言っている人がいると「こんな会社で働きたくないな」と思うようになるのではないでしょうか。
また自分自身も評価されなくなります。
前職時代、尊敬する上司から「お前が批判を繰り返しするのは「楽」に逃げているからだ。卑怯でもある。お前がそんなことをいくら言っても、お前の評価は変わらない。他の人の評価も変わらない。組織もお前のために変わらないし、仕事の進め方も変わらない。責任をもたないやつ、愚痴を言うヤツはマネージャーには出来ない」と言われ、伸びていた天狗の鼻をポッキリ折られました。
問題点を見つけたら、当事者を含めて愛を持って率直にディスカッションしスピーディーに解決する
それでは問題点を見つけたら、どうすればいいのでしょうか。
それは「当事者を含めて愛を持って率直にディスカッションし、スピーディーに解決する」の一点に付きます。
相手と勇気を持ってディスカッションし、愛を持って率直にディスカッションすれば、大抵のことは解決します。
もし当人とのディスカッションだけで解決しなければ、自チームのマネージャー、相手チームのマネージャーを含めて、愛を持って率直にディスカッションし、問題を解決します。
マネージャーはメンバーから相談を受けたら、相手チームのマネージャー、相手チームのメンバー、自分、自チームメンバーの4者でMTGをセットし、愛を持って率直にディスカッションし、問題を解決するべきです。
マネージャーはメンバーから「自分たちだけでは解決出来ない」という相談を受けたら、決してそのままにしてはいけません。
自ら動き、相手チームのマネージャー+相手チームのメンバーと愛を持って率直にディスカッションし、問題を解決する義務があります。
決して権力や年齢で何とかしようとしてはいけません。
目的は問題を解決し、ミッションを達成することであって、誰かを打ち負かすことや、自分の思い通りにすることではないのです。
HousmartにおけるOne team
Housmartは「One team – テクノロジー・デザイン・不動産の専門知識を高い次元で融合させる。一人一人の力を掛け合わせ、チームとしてのアウトプットを最大化し、チームで勝つ。」をバリューとしてかかげています。
我々が目指している「住を自由に」というミッションは、一人の力や、特定の職種、特定の仕事だけでは成し遂げることが出来ません。
ミッションを成し遂げるために「One team」というバリューがとても重要なのです。
One teamを実現するためには、他の人、他チームに対する批評・批判をその人がいない場所でしないことが求められます。
問題点を見つけたら、当事者を含めて愛を持って率直にディスカッションし、スピーディーに解決出来るかどうかで、One teamを実現出来るかが決まります。
Housmartにいるメンバーであれば、必ずOne teamを実現出来ると信じています。