「売上を上げるために、採用しなければいけない」「仕事が増えたから、採用しなければいけない」という意見を良く聞きます。
一方で、人数が大勢いる大企業の倒産も良くニュースになります。
大企業のリストラも頻繁にニュースに取り上げられます。
はたして、売上を上げるために、増えた仕事に対応するために、採用は必須なのでしょうか?
なぜ大企業が倒産するのか
なぜ社員が数千、数万もいる大企業が倒産するのでしょうか。
それは会社の生産性が低いから、と言えます。
では、会社の生産性はどうやって確認すればよいのでしょうか?
一番簡単なのは「社員一人あたりの売上額」で比べる方法です。
(利益で見た方が正確ですが、話が複雑になるのでここでは売上で見ます)
計算式は以下の通りです。
会社の売上額 ➗ 社員数 もしくは
チームの売上額 ➗ チーム人数
(社員数、チーム人数には、営業マン以外の社員も当然含まれます)
社員数が多ければ多いほど、売上は上がっていきます。
一方で「社員一人あたりの売上額」は、生産性が上がらないと向上しません。
基本的に組織というのは、何か工夫がない限り、人数が増えれば増えるほど一人あたりの生産性は下がっていきます。
チーム内のコミュニケーションコストが上がっていくからです。
少人数の時であればツーカーで話が通じていたのが、チームの人数が多くなると何回もMTGし、何回もコミュニケーションを取らないと話が通じにくくなります。
また「あれもやりたい」「これもやりたい」「昔からやってきたことだから」「この方が正式なやり方だから」と仕事(売上に繋がらないものもふくめて)はどんどん自己増殖していくという性質があります。
一人あたりの生産性が低いまま採用し続けると会社が倒産する
一人あたりの生産性(売上額)が低いと、新規の採用が出来なくなります。
費用ばかりが増えて、売上が上がらないからです。
人件費は固定費なので、人が増えると固定費が増していきます。
固定費が増した分だけ売上が上がればいいのですが、人が増えた割には売上が上がらないということが良くあります。
組織の成長が、人の増加に追いついておらず、マネジメント不全・組織不全・サービス不全に陥っている状況です。
売上が上がらないと、固定費が増したことによって事業が赤字に転落します。
このような状況では新規の採用は出来ません。
そのまま採用すると会社は倒産してしまいます。
採用する為には、一人当たりの生産性を高める努力をする必要がある
採用によって組織を大きくする為には、一人あたりの生産性(売上額)を上げる必要があります。
一人あたりの生産性を上げる方法はいくつかあります。
- 一人あたりの生産性を毎月定点観測する
- 物事を数値化し、どこがボトルネックになっているか分析する
- 出来る限り仕事を削減する
- 効果が出ない施策をやめる
- 社員が行うよりも安く外注出来るものは外注する
- 会議への参加人数を絞り込む
- オペレーションをシンプルにする
- 自動化する
- 一人が行う仕事の幅を広げる
- 仕事の進め方を棚卸しする
- 商品ラインナップをシンプルにする
- 営業をシンプルにする
- 開発しやすい環境を整備する
- 無駄なコストを削減する
- ターゲット顧客の見直しをする
- 機能を改善する
- 既存顧客を活性化する
- 既存顧客をアップセルする
- 販売提携を行う
- 営業活動が出来ているかを見直す
- 営業施策の実行を徹底する
- トレーニングし、能力向上をはかる
- 営業施策を見直す
- 出来る限り仕事の密度を上げる
- ブランドコミュニケーションを変える
- ミスマッチな人材の配置転換を行う
特に盲点なのが「仕事を削減する」「施策をやめる」という行為です。
施策はどんどん増えていきますから、何もやめなければ業務量は膨らんでいきます。
「何かを行うために、何かを意識的にやめる」というのは見落としがちな視点です。
一人あたりの生産性が上がるということは、人材が活躍している、人材を十分に活用出来ている組織と言うことが出来ます。
メンバー同士がミッション・バリューに沿って自律性高く行動し、信頼関係を元にしたシナジーが生まれ、コミュニケーションロスが少ない組織と言えます。
嫉妬にかられた他責組織ではなく、みずから行動し、結果を出す組織とも言えます。
そういう組織であれば、安心して新しい人材を採用することが出来ます。
一方、一人あたりの生産性が低いまま採用を続けると、会社は倒産してしまいます。
「売上を上げる為には新規で採用しなくてはいけない!」
「売上を上げる為には人が足りない!」
というのは甘美な罠で、最初に注目するべきは一人あたりの生産性なのです。
一番良いのは採用の基準を極めて高く置くこと
時間と共に、一人あたりの生産性は下がっていきます。
どんなに素晴らしいサービスであっても、時間と共に競合が増え、価格競争に巻き込まれるからです。
どんな会社や、どんなチームであっても、需要と供給の関係からは逃れられません。
変化出来ない存在は、恐竜と同じ運命をたどることになります。
大企業が倒産するのは、時間と共に生産性が下がっているのを「見てみない振り」をし、変化を嫌い、責任を持って自ら行動する人材が少なかったからと言えます。
そうならないために、圧倒的な当事者意識を持ち、会社のミッションに共感し、自ら変化を生み出し行動出来る優秀な人材のみを採用することが重要です。
- 会社のミッションに共感した人材のみ採用せよ
- 自分より優秀な人材を採用せよ
- 3年後の成長に、あなた自身がコミット出来る人材のみを採用せよ
- あなたが手強い、かなわないと思う点がある人材のみを採用せよ
という金言があるのは、変化に対応していくためだと言えます。
上記のような特徴を持つ人材の採用に採用担当だけでなく、社長、マネージャーがコミットして採用活動(自らリファラル・イベント・情報発信で採用活動)を行えば、一人あたりの生産性を上げる施策が次々と生まれてくることが期待出来ます。