ハウスマートには目指している組織像があります。
それは
- 「住を自由に」というミッションに共感したメンバーが
- 自律的に行動し
- 結果から早く学習を行い
- 何としてもやり切る
と言う4つのステップを「スピード早く」実行する組織です。
そのために
- 会社全体・チーム・個人の目標設定(半年ごと)
- ハウスマートバリューの浸透
- 情報のオープン化
- 情報の共有と蓄積
- フィードバックとコーチング
という仕組みを実践しています。
大前提:経営陣・マネージャーの採用へのコミット
まず大前提として、私を含めた経営陣・マネージャーが採用にコミットする必要があります。
経営陣・マネージャーが採用にコミットすると、採用の成功確率がグンとアップするからです。
採用環境は日々厳しさを増しており、企業の採用力はそのまま企業の競争力となっています。
自律的で性格が良く、優秀なメンバーが増えればどんどん企業は成長していきます。
当事者意識が低く自律的でない人、他責性が強い人、学習意欲や人格の低い人が増えれば企業は衰退します。
採用は、企業が成長出来るかどうかの死活問題です。
スタートアップの魅力は「人材」です。
極めて優れた人材が多数、切磋琢磨し、自律的に働いている環境こそが魅力となっています。
ですから、多くの優秀な方に入社してもらう為には、実際にハウスマートで働いている経営陣・マネージャーに会ってもらい、その想い、その熱量、その人格、そのスキルを感じてもらう必要があります。
マネージャー自身が採用活動をすることで、マネージャーもメンバーが入社して以降の組織定着に本気になります。
言うまでもなく、経営陣やマネージャーが採用活動に時間を使うことは、多大なコストがかかり、大変なことです。
私自身、Housmartを創業する前に楽天で働いていた時は、スカウトメールを送ることもありませんでしたし、面接のたびに「めんどくさいな・・・」と思っていました。
日常業務がある中、採用活動をすることは本当に大変です。
それでもやはり、実際に経営陣・マネージャーが採用活動にコミットすることが大切です。
「住を自由に」という理念に共感したメンバー
Housmartは「住を自由に」をミッションにしています(じゅうをじゆうに、と読みます)。
このミッションを成し遂げる為にHousmartは存在しています。
ミッションは全ての戦略・アクションのゴールです。
ミッションへの共感・思い入れがなければ、戦略・アクションもバラバラになってしまいます。
またチャレンジが必要なとき、困難なとき、限界を超える為にはミッションが拠り所になります。
Housmartが採用において、最も重要視しているのが、ミッションへの共感です。
どれだけ経験があっても、スキルがあっても、ミッションへの共感が無ければ、お互いにとって不幸になってしまうからです。
ミッションへの共感は、今後どれだけHousmartが成長したとしても、採用における最重要ポイントであり続けます。
自律的に行動
Housmartは100個の課題を50人で2つずつ解決するチームを目指しています。
その方が
- 解決のスピードが早く
- 現場の情報を元にしたダブルループ学習が起こりやすく
- メンバーが増えてもコミュニケーションコストによる生産性の低下が起きづらく
- 何よりも仕事が楽しい
からです。
100個の課題を1人が解決する組織は目指していません。
100個の課題を50人で解決する為には
- まずはやってみるを実践でき
- 学習意欲が高く
- 自律的に課題設定をつくり
- 仕事を確実にやり切り
- 成果を残す
メンバーでチームを構成する必要があります。
- 過去と同じ仕事を繰り返し、行動が遅く
- 勉強が嫌いで自ら学ばず
- 指示されてから動き出し
- 事故を起こしたり、途中で仕事を投げ出したりして
- 状況を嘆き
- 成果を残さない
メンバーは採用しないようにしています。
自律という言葉は「自分で自分を律する」という意味です。
自律的であるとは
- 何をするべきか
- どうやったら出来るようになるか
- 何から始めるか
- どうやって持続させるか
- どうやって仕組み化するか
- いかに気持ちを絶やさないか
- どう他のメンバーと協業するか
- どうリソースを確保するか
を考え、実行することです。
自律的なメンバーは「自ら行動し、成果を残す範囲」がとても大きいと言えます。
自ら行動することでしか成果は変わらない、自らは成長しないと知っているからです。
そして成長意欲が高く、自らの成長とチームの成長を望んでいます。
自律的なメンバーは
- 「私は〇〇を学習します」
- 「私は〇〇というアクションします」
- 「私は〇〇というサービスを使ってみます」
- 「私は誰々と相談し、一緒にプロジェクトをしてみます」
という、「自分+動詞」の発言が目立ちます。
何か問題があれば、問題となっている箇所に直接出向き、直接、相手と率直にディスカッションします。
施策を考え、自ら動き、トライアンドエラーを繰り返します。
自律的なメンバー同士は、極めて高い信頼関係を築きます。
自律的でない人は
- 「状況が悪い」
- 「リソースが足りない」
- 「これでは出来ない」
- 「誰々は分かっていない」
- 「もっと状況が良くならないかな」
と「他人・状況+形容詞・動詞」の発言が目立ちます。
何か問題があっても、問題となっている箇所とは関係ない場所(本人ではなく関係ない人に対して居酒屋や喫茶店、チャットツール)で、直接ディスカッションせずに不平や不満、悲観的憶測を口にします。
もしその不平や不満が当たっていたとしても、問題となっている箇所とは関係がないところで発言するので、状況は改善しません。
どうやったら改善出来るのか、ネクストアクションすらも見えてきません。
場の空気も極めて悪くなり、チームの生産性も著しく落ちます。
さらに悪い事は、第三者に対する不平や不満を聞いている人は、その不平や不満を言っている【本人自体】を信用出来なくなってしまいます。
「私の知らないところで、同じ様に私の悪口を言っているのではないか」と思えてしまうからです。
これは先輩・後輩や、取引先、マネージャーとメンバーの間でも当てはまります。
自律的である為には、人格の高さも求められます。
人は誰しも弱くなるタイミングがあります。
そんな時こそ「自分は今、自律的か」と自問する必要があります。
結果から早く学習を行う
最初からすぐに売れて、持続可能であり、競合が現れず、急激に成長するサービスや事業はありえません。
Apple、Amazon、Facebook、Microsoftでさえ、何度も倒産スレスレの危機にあっています。
どんなに優れたメンバーや、どんなに優れた事業機会があったとしても、仕事を進めていく中で様々なHard Thingsが待ち受けています。
毎年2倍、3倍の成長を目指しているスタートアップ組織であれば尚更です。
Hard Thingsに打ち勝つためには、ミッションへの共感、自律性に加えて、結果から学習する事が必要です。
学習することで
- やり続けるべきか、止めるべきかの判断が出来るようなる
- もっと良いやり方を発見する
- 再現性を確立できる
- 他の事象や他のチームに横展開出来る
というメリットがあります。
結果から学習するためには
- アクションを起こす前に期待値を決める(出来れば数値で)
- 結果を測定可能な状況を作る(データ集計)
- 期待値とのギャップを確認する
- ネクストアクションを決める(改善方法か中止)
- 場合によっては前提を変える
というステップを踏む必要があります。
学習するためには、まず「上手く行っているのか、いないのか」を判断する必要があります。
「上手く行っている」とは「期待値と合致しているかどうか」と言い換えることが出来ます。
施策をやっている時は「この施策をどう上手くやるか」「どう改善するか」に注目が行きがちですが、施策を効果的に行うためには「そもそもこの施策で期待値を満たせそうか」「このまま施策を続けた方が良いか」を判断する必要があります。
スタートアップは毎年2倍、3倍の成長を目指す組織ですが、同時に打てる施策の総数にはリソース面から限界があります。
また時間をかければかけるほど、赤字が拡大し、競合が出てきます。
そのため、早いスピードで「何をするべきか」を判断する必要があるのです。
1つの施策だけで上手くいくケースは殆どありません。
50、100の施策の中から効果的なものを選び出し、やり方を改善し続けると共に「この施策が上手くいかなかったら、こうしよう」という複数の腹案を用意しておくことが重要です。
何としてもやり切る
スタートアップは、今まで誰もやらなかったアプローチで、全く新しい価値を創り出すことで急激な成長を目指します。
「そんなに簡単に行くなら誰でもやっている」というのは真実で、簡単に行かないからこそ、今まで誰もやらなかった、もしくは途中で諦めたのです。
スタートアップを成功させる為には
- 本気でユーザーの事を考え
- 深くユーザーの調査を行い
- 何度も何度もユーザーインタビューを行い
- 高い技術力でサービスを作り
- 何度も何度も作り直し
- 様々な顧客に売り込み
- 何度も何度もオペレーションを磨き込み
- 顧客満足度を高め続け
- 何度も何度も事業計画を作り直し
- 経費を抑えて資金ショートを回避し
- 多くの仲間を集め
- 長期的な競合優位性を築き上げ
- やり続ける意志と精神力を保ち続けること
が必要となります。
ハウスマートを初め、スタートアップには大きな可能性があります。
ミッションへの共感、自律性、学習意欲、チームワーク、専門性があれば、スタートアップで成功出来る可能性は高いと言えます。
しかし、スタートアップは天国ではありません。
現実と向き合い続けながら、夢を実現させようと行動するリアリスト集団です。
だからこそ、これまでの慣習・年齢・入社年次などのしがらみに囚われることなく、挑戦し続け、圧倒的に成長し、本気で笑い、顧客の為に行動し、大きな成果を出すことが出来ます。
会社全体・チーム・個人の目標設定(半年ごと)
ハウスマートでは半年に一度、会社全体・チーム・個人の目標設定を行い、全社に共有します。
誰がどんな目標を目指しているか、一目で分かるようになっています。
目標が明示されていることで、どこに向かって行動すれば良いか、ブレが無くなります。
ハウスマートでは「手段」ではなく「結果」にフォーカスします。
手段にフォーカスすると、顧客のことを考えなくなり、ディスカッションの方向性がずれ、社内権威やチームの硬直性が生まれてしまうからです。
結果にフォーカスすることで、顧客のことを本気で考えるようになり、事なかれ主義を排除する事が出来ます。
お互いの目標が明確であれば、有機的に協力することも出来るようになります。
ハウスマートバリューの浸透
バリューは行動の判断基準を示したものです。
この基準に則って行動すれば、ミッションの達成に近づける、というものです。
ハウスマートには「Customer First」「One Team」「Be Prepared」「Change The Way」と言う4つのバリューがあります。
バリューは、自律的に行動する際のガイドラインと言う事が出来ます。
ハウスマートのバリューについて詳しくはこちらをご覧ください。
情報のオープン化
情報をオープンにするのは恐いものです。
また他者からのフィードバックを好ましく思わない組織は、壁を作ったり、情報を隠したがります。
しかし、自律的に行動するためには情報が欠かせません。
情報がなくては、作戦は建てられないからです。
ハウスマートではチャットツール、議事録、各種KPIなどをフルオープンにしています。
情報に階級を持たせるようなことはしません。
他部署からのヒアリングについても積極的に協力するようにしています。
情報の共有と蓄積
情報はオープンにされるだけでは十分ではありません。
分かりやすい形で積極的に共有され、蓄積される必要があります。
行動の自由は、結果責任と説明責任がセットになっています。
例えばプロダクトチームでは、毎朝「昨日の進捗と今日やること」をハドル会議で共有します。
チーム会議ではKPT「Keep(上手くいっていること)」「Problem(問題となっていること)」「Try(改善すること)」を頻繁に行っています。
誰かの間違いや学びは、チームの学びであり、チーム全体に共有する事でチームの生産性が上がります。
フィードバックとコーチング
ハウスマートは自律的な組織を目指していますが「自律的=マネジメントの放棄」ではありません。
ゴール(ミッション)とガイドライン(バリュー)を元に
- どのようにアクションする予定か
- 進捗はどうか
- ボトルネックは何か
などの内容を、チームメンバーとマネージャーで月に2回、1on1で擦り合わせをしていきます。
その他、話したい内容があれば別途MTGを設定します。
マネージャーとメンバーのコミュニケーションは3つの種類があります。それは「ティーチング」「フィードバック」「コーチング」の3つです。
「ティーチング」「フィードバック」「コーチング」には下記のような違いがあります。
- ティーチング:メンバーが自分で考えても分からない場面に、教えること
- フィードバック:メンバーが気付いていないことがあったり、マネージャーとの認識に差がある場面に、 (耳が痛いことでも)すぐに伝えること
- コーチング:メンバーが自分で考えれば分かる場面に、質問・傾聴を通じて引き出すこと
多くの組織ではマネージャーとメンバーの会話が「ティーチング」に終始しがちですが、Housmartは「フィードバック」と「コーチング」を重視しています。
「フィードバック」と「コーチング」こそが自律的な組織を形成すると考えているからです。
自分で自分の事を振り返るのは難しいものです。
施策や仕事を全力でやっていれば、尚更です。
それゆえ、特定の議題を話し合うMTGでのフィードバック、1on1でのコーチングを行うことによって、メンバー自身の振り返りを促進します。
1on1でヒアリングする項目の一部は下記のようなものです。
- 自分の行動でKeepすべきと思うことは?
- 自分の行動でProblemなところは?
- 今後それに対してどうTryしていく?
コーチングを行う為には、マネージャーとメンバーの信頼関係が絶対に必要です。
信頼していない相手には、率直な話をすることが出来ない為です。
率直な話をしても、批判されないという確信=心理的安全が必要になります。
心理的安全を作る為には、マネージャー自らメンバーにフィードバックを求め、素直に受け入れることが重要です。
例えば、Housmartでは1on1で下記のような内容をメンバーから話してもらいます。
- 上長と認識に差がありそうなことは?
- 上長の行動でKeepすべきことは?
- 上長の行動でProblemなところは?
- 上長はそれに対してどうTryするのがいい?
上司も間違え、失敗することを積極的に示していく。
上司が失敗から学び、学んだことを共有し、ふたたび挑戦する、また挑戦が大切であると何度も伝える。
それがハウスマートが目指す組織像です。