ビジネスパーソンにとって「今、この瞬間のアウトプット」は最も重要なものです。
アウトプットこそが事業を前に進め、自らの価値となるものだからです。
ビジネスパーソンにとっては、「これまでのアウトプット」や「これからのアウトプット」ではなく「今この瞬間のアウトプット」が最も重要です。
アウトプットと専門性
アウトプットを高めるために、一番重要なのは専門性を高めることです。
歯医者であれば、歯を治す専門性が必要です。
法律家であれば、法律で戦う専門性が必要です。
建築家であれば、建築に関する専門性が必要です。
いくら性格が良く、患者のことを心から考える歯医者であっても、肝心の歯を治す技術が弱かったり、歯に関する知識が貧弱であればアウトプットが優れているとは言えません。
そんな歯医者に、大事な歯の治療を任せたいと思う人はいないのではないでしょうか。
専門性を高める方法
専門性を高める方法は、職種によって異なります。
ただビジネスパーソンにとって、共通する専門性の高め方は次のようなものだと思います(プログラミングなど最新技術を学ぶ上では当てはまりません)。
- 専門書を読む
- ネットで検索する
- 社内ドキュメントを読む
逆に、専門性を高める上ではあまり意味のない方法は次のようなものだと思います。
- 成功者の自伝を読む
- 雑誌の特集を読む
- 自己啓発本を読む
多くの実例と視点、分析によって長時間鍛え抜かれた知識こそ実践で役に立つ
専門書、特に著名な学者やコンサルタントによって書かれた本には、一つの実例だけではなく、何十、何百という実例によって立証された理論や知識が書かれています。
その理論や知識は長い時間をかけて分析、実証されてきたため、我々が仕事をする上でも大いに役立ちます。
一方、成功者の自伝や雑誌の特集は、単純明快で読みやすく、エモーショナルであり、過激なものが多いため印象に残りやすいですが、サンプル数が少なくたまたま上手くいったケースを取り上げていたり、実証はされていないが「こうに違いない」と断定だけしているものが大半です。
そのため、実務の上では視点が欠けていたり、自分たちのやっている仕事には直接当てはめられないケースが目立ちます。
勇気を貰うことや、単純な読み物としては面白いのですが
- どのように我々の事業に役立つのか?
- ◯◯のケースではどうなるか?
- ◯◯というマイナス点を見逃していないか?
などの質問に答えられなければ、仕事では使えません。
どんな施策や制度であろうと、説明責任を果たす必要があります。
社会人にとって、勉強とは格闘
専門書を読むのは、骨が折れます。
新書や雑誌、Twitterと違い、専門書は分厚く、読むのに時間がかかります。
専門書を読み解くためには、スマホをしばらく封印し、勉強と割り切って専門書と格闘しなければなりません。
アウトプット力が高い人を見ていると、ものすごく勉強していることが分かります。
職種や業種に限らず、勉強の量がとても多いのです。
先日Netflixで公開されたビル・ゲイツのドキュメンタリーでも、いかに彼が勉強家か、克明に描かれています。
世界中を飛び回り、世界で最も難しい難題に挑むビル・ゲイツでさえ、勉強のために時間を確保し、専門書と格闘しています。
我々も、少なくとも一年に5〜6冊程度は専門書を読む必要があるのではないでしょうか。
最近では、本を朗読してくれる「オーディオブック」や、iPhoneの自動読み上げ機能など「ながら読書」が出来るサービスも出てきており、格段に勉強しやすくなったと思います。
専門性がないと仕事はツマらない
専門性を高めることによって、業務の遂行能力が上がり、アウトプットが増えます。
そして更に素晴らしいことは、専門性を獲得することよって世界の見え方・解像度が変わることです。
専門性を獲得することよって、世界の見え方・解像度が変わり「もっとこうしたらいいんじゃないか」「自分がこうすることによって、チームの結果が変わるのではないか」と試行錯誤の糸口が見つかります。
専門性が無ければ、精神論や他人の批判に終始し、「ここではないどこか」を求めたり、物事の表面上を撫でるだけで終わってしまいます。
物事の表面上を撫でているだけでは、仕事はツマらないものです。
また専門性が低ければ、業務の遂行能力が低いが故にアウトプットも増えず、やりがいも感じられません。
「ここではないどこか」でも専門性は必ず必要なため、また仕事がツマらなくなってしまいます。
専門性を高め、世界の見え方・解像度を変え、自ら仕掛け、チームの結果を最大化すること。
それが仕事の醍醐味だと思います。