マクドナルドをアメリカ全土、そして全世界へ展開したレイクロックの映画「ファウンダー」を観てきました。
もともと「成功はゴミ箱の中に」を読んだことがあり、レイクロックのことを少しは分かっているつもりでしたが、余りにも映画が面白く、全ビジネスマン必見だと思ったので、ファウンダーから私が学んだ「3つのエッセンス」をお伝えしたいと思います。
※本編ネタバレを含みます
成功をどれだけ大きくイメージ出来るかが大事
レイクロックはマクドナルドの創業者ではありません。
50歳を超え、しがないミルクシェイク製造機のセールスマンだったレイクロックは「今すぐミルクシェイク製造機を8台くれ!」という注文を受けます。
「そんな馬鹿な注文があるか」と不思議に思い、注文した「マクドナルド」という店に確認しにいきます。
そこで目の当たりにした光景は、世界初の画期的な方法(スピード・サービス・システム)で、出来立てのハンバーガーを僅か30秒で提供する店でした。
お店の前では、客が美味しそうにハンバーガーを頬張っています。
余りにもすさまじいシステムに感動したレイクロックは
「今すぐこのシステムをフランチャイズ化し、全世界に広めよう!」
と、創業者であるマクドナルド兄弟に提案します。
一方、マクドナルド兄弟は
「店舗を拡大すると、質の担保が出来ない。既に4店舗も展開しているし、これ以上は不可能だ。」
とレイクロックの提案をはねのけます。
その後すったもんだがあり、結局マクドナルド兄弟はレイクロックに、店舗の拡大を任せるようになります。
レイクロックは、マクドナルド兄弟にこんなセリフを言います。
「世界中、どんなところにも、教会と裁判所がある、どんなところにもだ!マクドナルドのゴールデンアーチは、教会の十字架に共通する神聖さがあるー。マクドナルドは、美味しいバーガーだけでなく、家族や仲間が集い食事する場を象徴している。マクドナルドはアメリカの新しい教会になる。体と心の糧になり、しかも日曜日のみでなく、毎日開いているんだ!」
そして現在、マクドナルドは全世界に3万7000店舗。売上2兆4000億円。全世界の人口の約1%が毎日マクドナルドを食べています(2016年時点)。
仕組みを作りあげたマクドナルド兄弟以上に、ビジネスの可能性を信じたレイクロックだからこそ、マクドナルドを世界一の外食ビジネスに育て上げることが出来たのではないでしょうか。
ビジネスのあり方を変え続ける
レイクロックに感動を与えたマクドナルド兄弟のシステムですが、最初から完璧なものではありませんでした。
兄弟が最初に始めようと思ったのは普通のレストラン。
経営はある程度上手くいきましたが、ある日マクドナルド兄弟は、ハンバーガーとポテト、ドリンクが店の売上の大半を占めている事に気づきました。
またメニューが多く、ウェイターが注文を受けることから、注文ミスが頻発。
さらにジュークボックス(音楽をかけられる機械)を置いていた事から、不良の溜まり場になっていました。
そこでマクドナルド兄弟は「もっと革新的なものを作りたい!」という思いで、ゼロからサービス設計をやり直します。
テニスコートにチョークで調理場の設計図を書き、実際にコックが調理する動きを再現。何度も何度も設計をやり直し、特注の調理器具も準備。調理場を完全に作り変えます。
さらに多かったメニューの数を「ハンバーガー」「ポテト」「ドリンク」の3種類まで削減。
ウェイトレスが注文を受ける代わりに、客にカウンターに並んでもらうセルフサービスを導入。
皿やナイフ・フォークも無くして、全ての商品を紙で包んで提供するようにしました。
こうして、世界初の「スピード・サービス・システム」が完成するのです。
(このサービス開発の回想シーンは超感動的で、私は泣いてしまいました(笑))
レイクロックがマクドナルドの拡大を始めた後も、変化の連続でした。
最初は利益の1.4%をフランチャイズ加盟者から受け取るビジネスモデルでしたが、銀行からの資金の借り入れが難航。
そこで、マクドナルド自体が新しい店舗の土地を買い、その土地をフランチャイズ加盟者に貸し出すというモデルに転換しました。
不動産を大量に保有するようになったマクドナルドは、資本力を増し、一大帝国を築き上げるようになっていきました。
いままでのビジネスモデルに固執する事なく、状況に合わせてどんどんピボットしていくことの重要性を教えてくれます。
人生を諦めず、可能性を見つけたら全てを投入すること
レイクロックがマクドナルド兄弟に出会ったのは52歳の時。普通であれば、引退を考える歳です。
しかし、彼の中には「もっとやれるはずだ、もっと挑戦したい!」という思いがあり、マクドナルド兄弟と出会った瞬間に「これだ!」と確信を得ます。
そして、確信を得た後は、死にものぐるいで兄弟を説得し、(奧さんになんの相談もせず!)家を担保にいれて資金を銀行から引っ張り、全財産をマクドナルドに投入します。
自ら先陣を切り、マクドナルドを次々に拡大させて行く姿は鬼気迫るものがあります。
レイクロックの愛読書である「積極的考え方の力」という、アメリカのベストセラーの一節が映画の中では繰り返し出てきます。
「世の中に“根気”に勝るものはない。“才能”があっても、成功できない者はごろごろしている。“天才”も報われないのが世の常だ。“学歴”も賢さを伴うとは限らない。“根気”と“信念”があれば無敵だ。」
この「積極的考え方の力」という本は、全世界で2000万部も売れ、ドナルド・トランプ大統領の愛読書でもあると言われています。
まとめ
映画の中では、レイクロックのダメな部分、非情な部分がたくさん描かれています。
もちろん彼も人間なので、全てが完璧かというと、そんな事はないと思います。
エンターテイメント作品としては、レイクロックのダメな部分がめちゃくちゃ面白いのですが、それらを抜きにしても「ビジネスのリアルを学べる映画」として最高に面白い映画でした。